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人生は二毛作

会社の制度も移り変わり、定年は55歳から60歳となる世の中になった。
新聞によると、年金支給に合わせて段階的に65歳まで延長しようという大会社まで現れている。
平均寿命が延び人生80年となった現在、定年後を如何に過ごすかは人生の大問題。

今から3年前のことである。当時私は55歳、定年後の人生設計を決めかねていた。
一般的なサラリーマンである自分には、主に三つの選択肢があった。
一毛作:定年時でハッピーリタイア。家でゴロゴロ、時々旅行、気が向いたらボランティア。
二期作:過去30数年間の化学会社勤務の経験を生かし、再就職か技術コンサル業。
二毛作:過去の仕事とは決裂し、自分にとって新しい分野で、雇われることなく自立して、生涯体が動かなくなるまで自分の意志で続けられる仕事を持つ。

一毛作は、イージーで楽チンだが成長がストップするばかりではなく、脳も退化してしまう。何のために長生きしているのかなーと、自己嫌悪に陥ることだろう。
二期作は、最も正統派。もし、高度な頭脳と強靭な精神力があれば、専門を極めその領域で第一人者の地位を築く道もあるだろうが、所詮一般的なサラリーマンである自分には夢のまた夢。
再就職をしても、せいぜい65歳頃までしか働けない。5年程度先送りすることになるだけ。化学系技術コンサルは、特殊能力ではあるが専門化しすぎていてツブシが利かず適職は少ない。そもそも、70歳頃になったら、一体何をコンサルしようというのか、世の中の技術進歩が止まっているわけではない。
二毛作は、新しい分野に挑戦すること自体は楽しいことである。しかし、新しい分野を如何に選択するのか、60歳から取り組んでも能力的にやっていけるような分野があるのか、そもそも取り組む気力体力が60歳まで温存されているか等々、難問は山積み。

55歳の当時、今結論を出さなければ将来一毛作へ流されると思い決断した。
出した答えは、二毛作。生涯現役を貫くこと。そのためには、まだ元気、体力のあるうちに次の準備を始めなくてはならない。55歳で退職した。第二の人生に対し、何の準備もせず、過去の経験にすがることなく、さらの気持ちで飛び込んでいくことが、希望と不安の入り混じった何とも不思議な爽快感を感じさせた。一度自分を突き放してみる。それでどうにもならなければ、それだけの人間だったということ。開き直った。後悔はしない。
かくして、私は「人生は二毛作」の世界に足を踏み入れることになった。

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